石綿障害予防規則の完全解説|事業者の義務と罰則

公開日:2026-05-19 最終更新:2026-05-19 監修体制:建築物石綿含有建材調査者・石綿作業主任者の有資格者ネットワーク

※ 本記事に記載の費用相場・補助金額・統計・登録者数・法令等の数値は、記事の作成・更新時点の情報です。法令改正や制度改定により変わるため、最新の情報は各自治体公式サイト(.lg.jp)・厚生労働省・国土交通省・環境省の公表値を必ずご確認ください。

石綿障害予防規則(石綿則)は、労働安全衛生法に基づきアスベストによる労働者の健康障害を予防するための厚生労働省令です。事前調査・作業計画・特別教育・健康診断など事業者の義務を定めています。

アスベスト関連の法律は複雑で、大気汚染防止法・労働安全衛生法・廃棄物処理法など複数の法令が関わります。その中でも「石綿障害予防規則」(通称:石綿則)は、労働者保護の観点から事業者に最も具体的な義務を課す省令です。本記事では、規則の構成・主な義務・罰則を条文ベースで詳しく解説します。

石綿障害予防規則の完全解説|事業者の義務と罰則

石綿障害予防規則とは何ですか?

労働安全衛生法に基づく厚生労働省令で、アスベストによる労働者の健康障害予防を目的とする規則です。2005年に制定され、最新は2023年10月の大改正版が施行されています。

正式名称は「石綿障害予防規則」で、平成17年厚生労働省令第21号として制定されました。労働安全衛生法第22条(健康障害防止措置)等の規定に基づき、アスベスト含有物質を取り扱う作業における具体的な事業者義務を定めています。

規則は本則48条と附則で構成され、対象物質の定義、事前調査、作業計画、保護具、特別教育、健康診断、記録保存など多岐にわたります。

事業者の主要な義務は何ですか?

事業者の主要な義務は何ですか?

事前調査・作業計画作成・石綿作業主任者選任・特別教育・健康診断・記録保存・保護具支給の7つが中心的な義務です。違反は罰則対象となります。

石綿則で事業者に課されている主要な義務を整理します:

条文 義務内容
第3条事前調査の実施・結果の3年間保存
第4条作業計画書の作成・労働者への周知
第5条作業届出(一定規模以上)
第19条石綿作業主任者の選任
第27条労働者特別教育の実施
第40条特殊健康診断の実施(6ヶ月ごと)
第41条健康診断記録の40年間保存
第44条呼吸用保護具・保護衣の支給

2023年10月の改正で何が変わりましたか?

事前調査が有資格者必須化されました。建築物石綿含有建材調査者が実施するよう改正され、無資格者の調査は法令違反となりました。

2023年10月1日から施行された改正石綿則の要点は以下の通りです:

  • 事前調査は建築物石綿含有建材調査者など有資格者が実施することが必須化
  • 調査結果の書面交付・3年間保存義務の厳格化
  • 分析調査は分析調査者または同等の知識を有する者が実施
  • 事前調査結果の電子報告(80㎡以上の解体・100万円以上の改修)
  • みなし含有判断の明文化

これらの改正は、過去に多発した調査見落とし・無資格調査によるトラブルへの対応として行われました。

作業計画書には何を記載しますか?

作業方法・順序・粉じん発散防止策・労働者の保護具・関係者の役割分担を記載します。労働者へ周知し、計画通り作業を実施する義務があります。

石綿則第4条に基づき、作業計画書には以下を盛り込む必要があります:

  • 作業の方法および順序
  • 石綿粉じんの発散を防止し、または抑制する方法
  • 作業を行う労働者への粉じん曝露を防止する方法
  • 使用する機械・器具・設備
  • 作業に従事する労働者の人員
  • 関係労働者への周知方法

作業計画書は労働基準監督署の臨検時に開示が求められる重要書類であり、現場保管が必要です。

特別教育の内容は何ですか?

特別教育の内容は何ですか?

石綿の有害性・関係法令・保護具の使用方法など4.5時間以上の教育が必要です。アスベスト含有建材を取り扱う全労働者が受講対象です。

石綿則第27条と労働安全衛生法第59条第3項に基づく特別教育のカリキュラムは以下の通りです:

科目 時間
石綿の有害性0.5時間以上
石綿等の使用状況1時間以上
石綿等の粉じん発散を抑制するための措置1時間以上
保護具の使用方法1時間以上
関係法令1時間以上

罰則の構成はどうなっていますか?

労働安全衛生法第119条により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が中心です。法人も両罰規定で罰金対象となります。

石綿則の違反は、ほぼすべて労働安全衛生法第119条の罰則規定が適用され、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。具体的には以下のような違反例があります:

  • 事前調査未実施・記録未保存
  • 石綿作業主任者の未選任
  • 特別教育の未実施
  • 健康診断の未実施
  • 保護具の未支給

重大な労働者災害が発生した場合は、業務上過失致死傷罪などより重い刑事責任を問われる可能性もあります。

健康診断はどう運用しますか?

6ヶ月以内ごとに1回の特殊健康診断と、退職後も希望者には継続実施が必要です。診断記録は40年間保存します。

石綿則第40条と第41条に基づく健康診断要件:

  • 業務従事中:6ヶ月以内ごとに1回(雇入れ時・配置換え時も)
  • 診断内容:業務歴調査・問診・胸部X線撮影・尿検査
  • 記録保存:個人票を40年間保存(労働者の生涯にわたる健康管理)
  • 離職後も従事者からの希望により継続実施可能

よくある質問

Q1. 石綿障害予防規則は誰に適用されますか?

A. アスベスト含有建材を取り扱うすべての事業者と労働者に適用されます。解体・改修・除去工事の発注者・施工者が主な対象です。

Q2. 事前調査の記録は何年保存しますか?

A. 事前調査の記録は3年間の保存が義務付けられています(石綿則第3条)。違反すると6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

Q3. 健康診断は受けさせる義務がありますか?

A. はい、アスベスト取扱業務に従事する労働者には6ヶ月以内ごとに1回の特殊健康診断が義務付けられています(石綿則第40条)。

まとめ

石綿障害予防規則は、アスベスト業務における事業者の義務を最も具体的に定めた省令です。違反は刑事罰の対象となるだけでなく、労働者の健康と命に直結します。アスベスト除去を依頼する際は、これらの法令を遵守する有資格業者を選ぶことが不可欠です。

参考リンク(公的一次ソース)

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